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生命を創る


研究者が所望する特性を持った生命システムを、設計し“つくる”研究が近年行われています。生体分子による化学反応の自律制御を利用した計算機をつくる“分子コンピューティング”、生体分子から成る構造物やアクチュエータをつくる“分子ロボティクス”、人工の生体分子ネットワークを組み込むことにより所望の特性を生物に持たせる“合成生物学”を当研究室では研究しております。これらの研究には、生命システムの原理の理解という理学目的や、分子ロボットや細胞をシャーシとした生物ロボットを医学・工学的に役立てる目的があります。

分子コンピューティング: DNAは、A、C、G、Tいずれかの塩基を含む4種のデオキシヌクレオチドが連なった直鎖状分子の総称です。このDNAを4進数の文字列とみなし、遺伝子工学的手法でDNAを切ったりつなげたりして文字列を変換することで計算を行います。 <詳しくはこちら>

分子ロボティクス: DNAを素材とした一般的な二本鎖とは異なる任意の形の構造物、DNAの鎖置換反応を利用したアクチュエータ、特定の小分子に応用するRNAなど生体分子から成るパーツを開発することが可能ですし、それらを組み合わせて分子ロボットを作製することができます。 <詳しくはこちら>

合成生物学: 他の生物の遺伝子や改良した遺伝子を細胞に導入することで、様々な特性を生物に与えることが出来ます。この10年でトグルスイッチやオシレータ、論理ゲートなど電子部品を模した多様な機能を細胞に持たせることに成功しています。これら“遺伝子回路”の開発には数理モデルをベースとした工学的手法による設計が不可欠であり、生物学者・工学者、様々な人材が合成生物学の分野に参入しています。当研究室では遺伝子回路の設計や解析といった計算機による“DRY実験”や実際に遺伝子回路を開発し生物に導入する“WET実験”を行うことが可能です。 <研究例>

このように、「生命をつくる」研究とは、生命の部品あるいは生命自体を素材とした“ものづくり”の新しい分野です。 世界中で腕に覚えのある人たちが、アイデアで競い合っているような楽しい学問です。